2011.06.14 Tuesday
大人になったら芸術家になりたい
京都在住の映像作家、宮岡秀行氏からのイベント告知です。
前回の札幌のイベントも興味深そうでしたが、今回も私自身が行けないのが残念。
お近くにお住まいの方はぜひ!
映画+音楽+シンポジウムの夕べ
緊急企画「大人になったら芸術家になりたい」
会期:2011年7月05日(火) 17時30分より
場所:同志社大学寒梅館クローバーホール
入場無料
3.11.以後、人類は芸術家と警察官に大別される?
東日本大震災から9日ぶりに救出された少年は言いました、「大人になったら芸術家になりたい」それとも「警察官になって人を助けたい」と。
何の役にも立たない芸術家【ルビ:デクノボー】と「僕、地震を逮捕しに行ってくる」という警官、救われた夢はどちらだろう?
死ぬことに役立たない芸術が、生きていることに役立つのか?
自分が生きているということに復讐される3.11.以後の人類を、何と呼ぶ?
豪華メンバーによる、想定外を遥かに超えた芸術祭の開催!
+++スケジュール+++
*映画上映
開場:17時
開映:17時30分(終映18時20分)
上映1.:『獣となったわたし』 Beast of Me
琴【ルビ:クム】仙姫【ルビ:ソニ】
2005年/米/18分/デジタル作品
在 日朝鮮人への差別や虐待が、日本の朝鮮コミュニティで育った在日3世の琴仙姫自身による日本語と英語と朝鮮語の三重音声により語られる。琴の身体は、山羊 の群れや、マーシャルアイランドの核実験によって被爆した女性の証言へと連結され、僅か18分間のなかに、植民地化と近代文明の暴力に関する経験の詳細さ を描き出す。琴の声は、剥き出しの野の花に似て、画面のなかで震えつづける。
上映2.:『僕にはわかる、自分がどこへ向かっているのか』 I know where I'm going
ベン・リヴァース
2009 年/英/30分(オリジナル16ミリシネスコ/デジタル上映)*日本語字幕付 Ann Arbor International Film Festival 2010 – Best Cinematography award Documenta Madrid 2010 – Honorable Mention of the Jury
The Earth After Usの著者で地質学者のヤン・ザラジーウィッツと会うため、ベン・リヴァースはイギリス北部にある島に向かう。ヤンの語りが、背骨のように繰り返し使わ れ、荒野に取り残されている者/モノたちがフレーミングされる。森で木が倒れ、はてしない変化にひとつの傷をつけるまでの時空に、古今東西のSF映画の音 声が重奏するとき、映画は地上という廃墟に「非時(ときじく)」を映し出す。
*コンサート
開演:18時30分(終演予定19時40分)
演奏1.:ハコ HACO
演奏2.:ゲルブ・アル・リシャット・アンサンブル Guelb er Richat ensemble
*シンポジウム
開始:19時45分(終了予定21時)
シンポジウム:池内靖子(立命館大学)+市田良彦(神戸大学)+茨木千尋(司会)
++出演者プロフィール
Haco(ハコ)
神戸生まれ。ヴォーカリスト、作詞作曲家、エレクトロニクス奏者。
80 年代に音響芸術を学び、After Dinnerでの作品が国際的に評価される。これまでにソロやHoahioなど主宰プロジェクトでCD発売、海外のフェスティバル出演も数え切れない。 1990年映画「Step Across the Border」(ヴェルナー・ペンツェル & ニコラス・フンベルト)に音楽家として出演。2005年音響作品「Stereo Bugscope 00」がオーストリアのアルス・エレクトロニカで入賞。2008年クラウディア・トリオッジとフランスのカルチェ財団美術館、韓国のナム・ジュン・パイ ク・アートフェスティバルで共演。2011年10月に淡路島のノマド村で発表されるサウンドインスタレーション作品を、ヴェルナー・ペンツェル、茂木綾 子、上山ともこと共同制作中。
Guelb er Richat ensemble(ゲルブ・アル・リシャット・アンサンブル)
2009年、音楽とは異なるジャンルの表現者3人によって、民衆の音楽を求めて結成される。
祥 子/SHOKO(ヴォーカル、パフォーマー)、田中甚兵衛(ジャンベ、役者)、二瓶龍彦(ギター、チャランゴ、作家、演出家、美術家)。新宿歌舞伎町の昇 華堂にて、ギタリスト、ファゴット奏者、詩人、パフォーマーとの多岐に渡るコラボレーションを行なう。そのアコースティック・サウンドは、東欧、南米、ア ラブ、アジア等、世界の各地を想起させ「あやしくも哀しく、あたかも追放者のジプシー音楽」と評される。2011年6月には東京・代々木能舞台ならびに原 爆の図・丸木美術館にて、ナターシャ・グジー、謝雪梅などともに東日本大震災支援コンサート「with You」に出演、主催し、大反響を呼ぶ。
池内靖子(いけうち・やすこ) 1947年生まれ。立命館大学産業社会学部教授。演劇論、ジェンダー論。著書に『フェミニズムと現代演劇』『女優の誕生と終焉−−パフォーマンスとジェンダー』『残傷の音「アジア・政治・アート」の未来へ』(共著)。
市田良彦(いちだ・よしひこ) 1957年生まれ。神戸大学国際文化学研究科教授。社会思想史。著書に『ランシエール 新<音楽の哲学>』『アルチュセール ある連結の哲学』『非対称化する世界−−『<帝国>』の射程』(共著)。
茨木千尋(いばらき・ちひろ/司会) 1962年生まれ。字幕翻訳に、『僕にはわかる、自分がどこへ向かっているのか』『ヘルマン・シェルヘンの肖像』。論考に、「蝶の羽ばたきを聴く」など(スタジオ・マラパルテHP所収)。
主催/問い合せ:同志社大学今出川校地学生支援課 tel: 075-251-3270 fax:075-251-3099
共催:studio malaparte(http://1st.geocities.jp/mothermonika/)
ゲスト、ならびに上映・上演内容は変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
前回の札幌のイベントも興味深そうでしたが、今回も私自身が行けないのが残念。
お近くにお住まいの方はぜひ!
映画+音楽+シンポジウムの夕べ
緊急企画「大人になったら芸術家になりたい」
会期:2011年7月05日(火) 17時30分より
場所:同志社大学寒梅館クローバーホール
入場無料
3.11.以後、人類は芸術家と警察官に大別される?
東日本大震災から9日ぶりに救出された少年は言いました、「大人になったら芸術家になりたい」それとも「警察官になって人を助けたい」と。
何の役にも立たない芸術家【ルビ:デクノボー】と「僕、地震を逮捕しに行ってくる」という警官、救われた夢はどちらだろう?
死ぬことに役立たない芸術が、生きていることに役立つのか?
自分が生きているということに復讐される3.11.以後の人類を、何と呼ぶ?
豪華メンバーによる、想定外を遥かに超えた芸術祭の開催!
+++スケジュール+++
*映画上映
開場:17時
開映:17時30分(終映18時20分)
上映1.:『獣となったわたし』 Beast of Me
琴【ルビ:クム】仙姫【ルビ:ソニ】
2005年/米/18分/デジタル作品
在 日朝鮮人への差別や虐待が、日本の朝鮮コミュニティで育った在日3世の琴仙姫自身による日本語と英語と朝鮮語の三重音声により語られる。琴の身体は、山羊 の群れや、マーシャルアイランドの核実験によって被爆した女性の証言へと連結され、僅か18分間のなかに、植民地化と近代文明の暴力に関する経験の詳細さ を描き出す。琴の声は、剥き出しの野の花に似て、画面のなかで震えつづける。
上映2.:『僕にはわかる、自分がどこへ向かっているのか』 I know where I'm going
ベン・リヴァース
2009 年/英/30分(オリジナル16ミリシネスコ/デジタル上映)*日本語字幕付 Ann Arbor International Film Festival 2010 – Best Cinematography award Documenta Madrid 2010 – Honorable Mention of the Jury
The Earth After Usの著者で地質学者のヤン・ザラジーウィッツと会うため、ベン・リヴァースはイギリス北部にある島に向かう。ヤンの語りが、背骨のように繰り返し使わ れ、荒野に取り残されている者/モノたちがフレーミングされる。森で木が倒れ、はてしない変化にひとつの傷をつけるまでの時空に、古今東西のSF映画の音 声が重奏するとき、映画は地上という廃墟に「非時(ときじく)」を映し出す。
*コンサート
開演:18時30分(終演予定19時40分)
演奏1.:ハコ HACO
演奏2.:ゲルブ・アル・リシャット・アンサンブル Guelb er Richat ensemble
*シンポジウム
開始:19時45分(終了予定21時)
シンポジウム:池内靖子(立命館大学)+市田良彦(神戸大学)+茨木千尋(司会)
++出演者プロフィール
Haco(ハコ)
神戸生まれ。ヴォーカリスト、作詞作曲家、エレクトロニクス奏者。
80 年代に音響芸術を学び、After Dinnerでの作品が国際的に評価される。これまでにソロやHoahioなど主宰プロジェクトでCD発売、海外のフェスティバル出演も数え切れない。 1990年映画「Step Across the Border」(ヴェルナー・ペンツェル & ニコラス・フンベルト)に音楽家として出演。2005年音響作品「Stereo Bugscope 00」がオーストリアのアルス・エレクトロニカで入賞。2008年クラウディア・トリオッジとフランスのカルチェ財団美術館、韓国のナム・ジュン・パイ ク・アートフェスティバルで共演。2011年10月に淡路島のノマド村で発表されるサウンドインスタレーション作品を、ヴェルナー・ペンツェル、茂木綾 子、上山ともこと共同制作中。
Guelb er Richat ensemble(ゲルブ・アル・リシャット・アンサンブル)
2009年、音楽とは異なるジャンルの表現者3人によって、民衆の音楽を求めて結成される。
祥 子/SHOKO(ヴォーカル、パフォーマー)、田中甚兵衛(ジャンベ、役者)、二瓶龍彦(ギター、チャランゴ、作家、演出家、美術家)。新宿歌舞伎町の昇 華堂にて、ギタリスト、ファゴット奏者、詩人、パフォーマーとの多岐に渡るコラボレーションを行なう。そのアコースティック・サウンドは、東欧、南米、ア ラブ、アジア等、世界の各地を想起させ「あやしくも哀しく、あたかも追放者のジプシー音楽」と評される。2011年6月には東京・代々木能舞台ならびに原 爆の図・丸木美術館にて、ナターシャ・グジー、謝雪梅などともに東日本大震災支援コンサート「with You」に出演、主催し、大反響を呼ぶ。
池内靖子(いけうち・やすこ) 1947年生まれ。立命館大学産業社会学部教授。演劇論、ジェンダー論。著書に『フェミニズムと現代演劇』『女優の誕生と終焉−−パフォーマンスとジェンダー』『残傷の音「アジア・政治・アート」の未来へ』(共著)。
市田良彦(いちだ・よしひこ) 1957年生まれ。神戸大学国際文化学研究科教授。社会思想史。著書に『ランシエール 新<音楽の哲学>』『アルチュセール ある連結の哲学』『非対称化する世界−−『<帝国>』の射程』(共著)。
茨木千尋(いばらき・ちひろ/司会) 1962年生まれ。字幕翻訳に、『僕にはわかる、自分がどこへ向かっているのか』『ヘルマン・シェルヘンの肖像』。論考に、「蝶の羽ばたきを聴く」など(スタジオ・マラパルテHP所収)。
主催/問い合せ:同志社大学今出川校地学生支援課 tel: 075-251-3270 fax:075-251-3099
共催:studio malaparte(http://1st.geocities.jp/mothermonika/)
ゲスト、ならびに上映・上演内容は変更になる場合がございますので、あらかじめご了承ください。
2011.06.12 Sunday
日本映画史への素朴な疑問
四方田犬彦氏の『日本映画100年史』を読み終えたところで、自分が日本映画の発達史にあまりにも無知であったことを痛感した。というよりも単に勉強不足だった。劇映画の歴史を避けていたわけではないのだが、どちらかと言えば『日本ドキュメンタリー映画全史』(野田真吉)などを繰り返し参照していた。もちろん通史は、学生時代の教科書だった田中純一郎『日本映画発達史』などを読んでいたつもりだったけれども、当時は初期映画への関心が薄かったせいか、ほとんど記憶になかった。ここ数年は、授業で映画の歴史にも触れなければならず、関連書を読む機会が増えた。本を読むタイミングは重要だと思う。
何が疑問かというと、尾上松之助の主演作品数が14年間に1000本を超えていた、という記述だ。本数に間違いはないだろうから、あらためて物凄いペースだと驚いた次第。日本でも、最初期の映画が短編だったことは考えたとしても、1910年の牧野省三による『忠臣蔵』は80分と記されている。また、歌舞伎の演目などが映画の脚本のベースになっていたとしても、舞台をそのまま撮影するような手法だけではなかっただろう。1925年の『荒木又右衛門』が、松之助の主演1000本記念映画だったという。トーキー以前ではあるけれども、年間71〜72本(ひと月6本)の映画に主演するということが、どのようにして可能だったのだろうか? ちゃんと調べればいいのだけれども。(佐藤博昭)
2011.06.05 Sunday
市民ビデオって面白い
「市民がつくるTVF」のイベントとして、昨日「市民ビデオって面白い」を開催しました。僕は進行役で参加してのですが、とても充実した時間であったことを報告しておきます。
この日は、大田区在住の市民ビデオ作家がお二人ゲストとして参加されました。いずれも今年の1月29日に行われた『TVF2011 発表表彰式』でお会いした入賞者の方です。『鏡の国のM』の田井庸介さん、『TIME SlIP』の仙波 晃さんです。
お二人の作品を見て、参加者でビデオについて語り合おうという企画でした。
『鏡の国のM』は田井さんの郷里、明石で実のお姉さんとその娘さんたちが出演しているという、まさにホームメード・ドラマです。お姉さんの自宅や近所のスーパが舞台となった、手作りご当地ドラマですね。中学生の女の子が恋占いをきっかけに、左頬のほくろが恋運がいいとか、左利きがいいとか、そういう素朴な憧れから、左右反転した鏡の世界に入り込むというファンタジーです。作者にお話を聞くと、いろんなエピソードが出てきます。発想の元はビデオ編集ソフトのエフェクトだったそうで、左右反転効果を何かに使えないかというところからの出発だったそうです。田井さんは、なかなかの技巧派で、反転だけでなくていくつかの技法をうまく使っています。シナリオの刈りこみとか、セリフの吟味がもっとなされれば、きっと切れ味が上がったのだと思いました。
仙波さんの『TIME SLIP』は、昭和11年に仙波さんのお父様が撮影したというフィルムが出てきます。1991年に同じ場所を、古い8mmのアングルやサイズを探るように撮影されたビデオと、さらに10年後の2010年のビデオが重なります。
かつて品鶴線と呼ばれたルートの存在、1両編成の京急電車、当時からあった鉄橋のアーチの数が、変化していることなどが、映像として見えてきます。記録だけでも価値のあるモノに仙波さんの思いが重なる、美しい一遍です。
70歳を越える仙波さんが生まれたばかりの時を写した8mmは、お父様が自宅で上映されるたびに嫌で仕方がなかったそうです。しかし、仙波さんの後のご兄弟は、当時は次第にフィルが不足して、ほとんどその姿が残っていないといいます。
仙波さん自身もずいぶんたくさん8mmフィルムを保存されているそうで、こうした個人映画のアーカイブも、貴重な歴史の証人であるはずです。
一般のお客さんが少なかったのは残念ですが、こうして作者の方と充分な時間をとってお話できる機会は、僕にとっても貴重なものでした。
次回は7月2日(土)14:00〜です。
お近くの方は、お誘い合わせの上、どうぞご来場ください。
詳しくは、下記のHPにあります。
http://tvf2010.org/
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