2012.12.18 Tuesday

優れたジャーナリストたちの声が届きますように!

12月15日(土)に、「PCJF 平和・協同ジャーナリスト基金賞」の第18回の贈呈式に参加しました。今年の作品選考の記録映像の作品選考委員をさせていただきました。
 http://www.pcjf.net/index2.html
10月の末頃からは、毎晩のように今年放送されたTVドキュメンタリーをDVDでみて、これまでに映画館で見た長編ドキュメンタリーと合わせて、評価を書いた毎日でした。正直に言えば苦しい仕事です。何しろ今年は、震災関連の多くのドキュメンタリーが放送されたり、公開されたりしました。一方で沖縄ではオスプレイに揺さぶられた一年でした。震災と沖縄、そして深夜のドキュメンタリーでは介護問題や、厳しい労働事情が伝えられました。この1年のドキュメンタリーを見れば、この国がいかに困難な状況にあるのかがよくわかります。
選挙の前日に、選ばれた作品の作者たちが集まり、それぞれの作品制作の経緯などを知ることができました。僕は、活字部門はノータッチだったので、早速今年の大賞作品を購入して、いま、読んでいるところです。
『ルポ イチエフ』(布施祐仁 岩波書店)は福島第一原発で事故後の処理をした労働者たちの記録です。まだ、5分の1くらいしか読んでいませんが、グイグイと引き込まれ、震災直後からの労働者たちの姿が目に浮かんできます。
昨日の新聞で、政府が原発事故収束宣言をしてから「危険手当」が出なくなったか、極端に安くなったという記事が出ていました。月給にして20数万円、危険手当も保証もない現場に労働者は集まらないという記事です。この『ルポ イチエフ』に出てくる労働者や東電社員たちの姿は、どれほどのひとに届いているのでしょうか?
映像部門は『長良川ド根性』の東海テレビ(共同監督の阿武野勝彦さんが来られていました)と、『標的の村』の琉球朝日放送(ディレクターの三上智恵さんが参加)です。『長良川〜』についてはこのブログにも書きました。国策に苦しめられた漁師たちの戦いと、怒りが長期取材の成果として十二分に伝わってきます。
『標的の村』は普天間にオスプレイが配備され、やがて北部演習場にもやってくることが予め決まっていながら、それらを隠し、住民には説明せず、しかも、新たなヘリパッド建設に反対して、建設車両が通る道路を塞いだとして、国に住民が訴えられるという、恐るべき事実が語られます。声を上げても通じず、デモをしても排除され、座り込んだら国に訴えられた高江地区の住民たちの悲痛な訴えです。国に訴えられた住民の中には、一度も現場に行ったことがない7歳の子供もいました。警察の排除されながら歌を歌い抵抗する市民たちに、どんな罪があるのでしょうか? しかも1960年代末、ベトナム戦争を想定した「ベトナム村」が北部演習場内に建設され、高江地区の住民は「ベトナム人役」をさせられ、村の住人として仮想の標的にされていたそうです。今、高江地区をヘリパッドが囲み、低空飛行のヘリコプターは一般人の住む住居を、当時のように標的のひとつとして訓練をしているといいます。
こんなことを考えながら、翌日の選挙の結果を見ていました。
優れたジャーナリストたちの仕事が、無駄にならないように、僕らは情報を取りに行かなければならないと思っています。垂れ流されるメディアの情報から、意図的に外されている情報があります。

あきらめないで、こうした情報を若い人たちに届けます。
今日は、三上さんには了解を得ていませんでしたが、会場で頂いた『標的の村』のDVDを学生たちに観てもらいました。数人の学生が涙を流していたことに、僅かな希望をみました。
ひとりでも、ふたりでも、共有してくれる人を増やしたいと思っています。
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